甦る論文 千葉篤先生の近松論

国立劇場の2月の文楽公演では、近松門左衛門の『五十年忌歌念仏』などが上演される。その公演に合わせて刊行される資料集に、日本文学研究会の常任委員であった、千葉篤先生の論文「五十年忌歌念佛――近松の意図したもの――」を採録したいという連絡があった。この論文は『文学研究』第73号(平成3年6月発行)に掲載されたものである。千葉先生は、平成7年5月24日に他界されてしまわれた。事務局としては、承諾した旨の返信を出した。千葉先生も、より多くの研究者などに読まれることを喜んで下さると思う。

●千葉先生は、私の大先輩であり、日本文学研究会の常任委員として、多くの御指導を賜った。先生は、主に近松の研究を続けておられ、近松作品の演習の時や、研究発表の時は、非常に多くの問題を提起され、穏健な御性格であったが、研究面では、有益な自論を提出しておられた。また、先生は仏教の信仰を持っていて、その信仰と研究の関係を常に意識して、作品分析をしておられた。私は後輩という事もあって、よく、先生と2人で研究上の手順などに関して、話し合い、お導きを賜った。そんな意味でも、今は亡き先生の御論文が、国立劇場の資料集に採録されることは、私も大変嬉しい。

国立劇場、2月、文楽公演

■千葉篤 「五十年忌歌念佛――近松の意図したもの――」