香川県公立高校入試に『可笑記』出題

●平成22年度香川県公立高校の入試に仮名草子可笑記』が出題された。昨日、県教育委員会の御配慮で入試問題を拝見した。出題は、巻四の30段からであった。過日は、京都府公立高校の平成23年度の入試に『可笑記』から出題されていることを知った。この作品の研究をライフワークにしている私は、とても嬉しい。出羽・酒田に生まれ、山形藩の取り潰しで、人生の大半を浪々の身として過ごした如儡子・斎藤親盛も、あの世で喜んでいるに相違ない。

●巻四の30段 入試の問題は、次の通り。
「問題 二 次の文章を読んで、あとの(一)〜(五)の問いに答えなさい。

昔(注1)もろこし(注2)漢の文帝の御代に、一日(注3)千里をかくる名馬を進上しける時、(注4)公卿大臣、①めでたき御重宝かなと申しあへりければ、②文帝あざ笑ひ給ひて仰せけるは、我此の馬を重宝とは思はず、其の(注5)仔細は、我たまたま(注6)遊山なぐさみにありく時は、一日にやうやう三十里、また③合戦などの時も、多くて五十里に過ぎず。④かやうにそろりそろりとありきてこそ、数万の人馬も疲れず、我に続いて忠功をなす。もしまた時によつていそぐ事ありといへども、かねて疲れぬ人馬なれば、我によく続いて忠功をはげます。されば我一人千里をかくる馬に乗りたりとも、数万の人馬、千里をかけずんばあへて益なしとて、⑤主のもとへ返し給ふ。

(注1)もろこし=昔、日本で中国を指して呼んだ名称。
(注2)漢の文帝=漢の第五代皇帝。
(注3)千里をかくる=非常に長い距離を走る。里は距離の単位。
(注4)公卿=朝廷に仕える高官。
(注5)仔細=事の詳しい事情。詳細。
(注6)遊山なぐさみにありく=遊びや気晴らしに出歩く。」

●詳細は →http://www.ksskbg.com/nyorai/nyorai.html

■入試問題



■『可笑記』巻四の30 寛永19年版11行本