長寿の御他界 は 「寿」

●敬愛する中国の書家、承春先 先生は過日、母国へ帰られた。父君、承名世様が御他界なされたからである。私は、

心からお悔やみ申し上げた。

●承名世様に、お会いしたことは無いが、かつて、こんな事があった。井関隆子の実家の『庄田家系譜』(副本)に、御子孫の依頼を受けて、明治期以後の部分の補筆を行うことになり、原稿は、庄田安豊氏の母・澄江氏が書いたが、清書は、どなたに依頼しようか、と思案し、昭和女子大学講師の承春先 先生にお願いした。承先生は、御多忙のところ、快くお引き受け下さり、この『庄田家系譜』は、昭和女子大学図書館に永久に保存されることを思って、母国の、文化史研究家でもある父君に、書体に関して質問されたという。承名世様は、書体は特にこだわらなくてよい、ただ、1字1字、真心を込めて書くように、とアドバイスして下さったという。私は、この深遠なお言葉に感動した。

●本日、承先生から、父親の葬儀も滞りなく済ませました。つきましては、中国式の供養のしるしをお送りします。というお手紙と、お品が、ゆうパックで届いた。中国式とは、「寿」と書き込まれた碗とスプーンである。父君は93歳で亡くなられた。90歳まで生を享けて、この世を辞する、それは、長寿て、誠にお目出度いことである。ゆえに、「寿」である、これが中国式という事であろう。

●今度、承先生には「齋藤筑後守記念碑」に碑文の筆をお願いした。過日、2分の1の清書が出来上がっていた。私は、その清書を父君の仏壇に捧げて欲しいとお願い申し上げた。

■承名世 先生の作品 ハンカチ
「名世写」とあり、朱印には「承名世図書」とある。


■中国式 供養のしるしの品