『仮名草子集成』 第47巻 発行

●今日、『仮名草子集成』第47巻の見本が届いた。第46巻が、昨年9月に出て、少し滞った。この種の研究書は、諸々の事情が関係するので、なかなか順調に進めることは困難である。この叢書は、朝倉治彦氏によって、昭和55年(1980)に刊行開始された。当初は、文部省の科学研究費補助金を受けてスタートした。30年余を経過して、本日、第47巻が刊行された訳であるが、収録作品は180点近い。私が卒論を書いた頃の作品の数は175点位であったのだから、その数を超えた。完結は70巻前後になるかと思うが、作品の数は300点にはなるだろう。朝倉氏の遠大な計画に対して、改めて敬意を表する。

●実は、私は、平成17年に、昭和女子大学を定年退職したが、この時、朝倉氏から、この『仮名草子集成』の継続を依頼された。仮名草子の諸本調査では群を抜く実績を持つ朝倉氏の後を引き継ぐ事が、私にできるのか、不安であった。私は、綿密な計画を練って、朝倉氏の了解を得て引き受けた。幸い、多くの方々の協力を頂いて、第39巻から新体制を立ち上げ、継続出版してきた。私の任務は、朝倉氏の遠大な計画を継承し、これを若い仮名草子研究者へ橋渡しすること、そのように心得て、ここまで進めてきたが、何とか責務を果たす事が出来たのかな、そんな思いで、第47巻を眺めた。この困難な学術書を継続出版して下さる、東京堂出版と編集を担当して下さった、西氏、松林氏、菅原氏に対しても、深く感謝している。この『仮名草子集成』の完結までは、私は生きていないだろう。それが文化というものである。

★本書の詳細 → http://www.ksskbg.com/kanabun/shin.htm

■『仮名草子集成』第47巻