6月は 「江戸がたり」 で始まった

●今日は、銀座・博品館劇場へ行って、第16回「寿々方江戸がたり」を鑑賞してきた。JR新橋駅の近く、銀座8丁目である。演目は、山本周五郎の『小指』と今泉みね口述の『名ごりの夢』であった。「江戸がたり」家元・花柳寿々方のかたりと舞が見事であった。満員の客席では、涙をぬぐう姿が見られた。

●「江戸がたり」とは、
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「時代物、ことに江戸の人情小説には、
先祖から伝えられた生活の知恵、信条などが、
ほろりと涙をさそう人情の機微を通じて語られています。

―美しいことばに乗せて―

それは心のふる里、日本文化そのものです。
江戸の人情小説を語り始めて氣がつきました。
これは「素踊り」だと。

素踊りとは、屏風一つで役柄を特定しない衣装を着け、
男になったり女になったり、情景描写を踊ります。
そのいのちは格調の高いことです。

江戸がたりも、一人の人間が何人もの登場人物を演じ、
情景や主人公の心の動きを、小説本の通りに語ってゆきます。

芝居ほどリアルではなく、絵が見えるほどに品良く、
素踊りを踊る心で語ってまいります。
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●これまでも、山本周五郎の作品、『糸車』『夫婦の朝』『梅咲きぬ』『明暗嫁問答』など、多くの作品をかたり続けておられる。
●今日は、久し振りに、美しい言葉の かたり と、間と光と音の舞台芸術に出合えた。

■第16回 寿々方江戸がたり