『江戸天下祭絵巻の世界』

●注文していた『江戸天下祭絵巻の世界』(2011年4月30日、岩田書院発行、定価2800円+税)が届いた。都市と祭礼研究会の編であるが、実に充実した内容で、しかも、この定価は安い。国立国会図書館所蔵の『神田明神御祭礼御用御雇祭絵巻』『山王祭之図』をカラーで複製収録している。しかも、その絵巻の内容についての解説と、論文が付けられている。同研究会の例会における、研究報告・解読・解釈の成果である由であるが、誠に貴重な成果であり、感謝して拝読している。

●江戸の天下祭としての、神田祭山王祭は、『井関隆子日記』にも書き留められているが、ちょうど、天保12年9月15日の神田祭は、天保の改革の最中であって、お上からのお達しで、質素に質素に執り行われたと、隆子は言っている。さらに、天保13年は山王祭で、次の14年9月15日の神田祭は、将軍家慶の23子が誕生し、こともあろうに、即御逝去、それで、神田祭もにわかに中止されたと言う。この年は、「かのとどまりつる祭り、明日わたりぬべしとて、女童そそめきあへり。」と、25日に延期されて行われたという。井関家の人々は、使用人の翁の家へ出掛けて、2階から見物したが、「今年は、あやしきまで、ことそぎ、江戸の花を失ひぬ。」という状態だったと記している。

■本書の詳細 → http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■『江戸天下祭絵巻の世界』