『文学的視線の構図  梶木剛 遺稿集』

●『文学的視線の構図 梶木剛 遺稿集』が発行された(2011年5月19日、深夜叢書社発行、定価3500円+税)。文芸評論家、法政大学大学院講師、弘前学院大学大学院教授、梶木剛氏は、昨年5月19日に他界された。73歳であった。千葉大学医学部附属病院に入院中にも執筆していた著書が『文学的視線の構図』であり、これが遺稿集となってしまった。

●本書は、斎藤茂吉正岡子規夏目漱石柳田國男の4人の、近代文学の代表作家を中心に論じられている。これは、梶木氏が生涯をかけて、鑑賞し、味読し、分析し、評価し、論じてこられた、歌人俳人・作家・研究者たちである。もちろん、この他の歌人・作家達の著書も多い。多いけれども、この4人に、最も打ち込まれたものと思われる。

●この著書の巻頭の「文学に関する断片」は、平成14年に、法政大学国文学会で講演されたものである。中野重治をマクラにして、斎藤茂吉正岡子規夏目漱石柳田國男に言及している。近代文学の4巨人を、具体的な作品の評価を打ち出して、文学史上の位置づけ、意義を述べておられる。これは、そうそう、出来る事ではない。

●私は、幸運にも、この梶木氏に、近代文学に関する、多くの事を教えてもらった。次々と刊行される著書も、大部分頂いている。氏は、徹底的に作品を読み、その作品の内実に基づいて論じ、豊かで鋭い批評眼で評価し、結果をずばりと明示してくれた。私は、梶木氏の論文・評論で、近代文学の見方を学んだ。

★本書の詳細 → http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■『文学的視線の構図 梶木剛 遺稿集』