石川 了 著 『江戸狂歌壇史の研究』

●石川了氏の大著『江戸狂歌壇史の研究』が発行された(平成23年3月30日、汲古書院発行、A5判776頁、定価18000円+税)。ずしりとした大著を目の前にして、私は敬服と感激の思いが強い。この主題の研究としては、最初の快挙ではないか。石川氏の論考はすでに、何点かは拝読し、その着実で新鮮な姿勢に心惹かれてはいた。しかし、このような目論見のもとに、着々と研究の歩を進めておられたとは、研究の分野が異なるとは言え、予測は出来なかった。嬉しい感動である。

■「本書は平成年間における筆者の江戸狂歌論考を中心として、平成二十一年度に総合研究大学院大学(基盤機関:国文学研究資料館)へ提出した学位申請論文に資料翻刻の付篇を補い、分不相応にも「江戸狂歌壇史の研究」と題してまとめてみたものである。」(あとがき)

●著者は、本書の「あとがき」でこのように書いておられる。平成の改元以降、「博士」の学位授与の基準も改定され、課程博士にしても論文博士にしても、かなり変った。学位申請論文を出版した著書も多く拝読しているが、うん? と思うような研究にも、しばしば出合う。しかし、この度の石川氏の御著書には、その研鑽の蓄積に敬服の念が強い。

●著者の学部の卒論は「笠亭仙家」であり、修士論文は「浮世草子と演劇の考証史」であったという。長谷川強、野田寿雄、吉田精一浜田義一郎、の諸先生の御指導を賜ったという。羨ましいような大先達の薫陶のなかで、この労作は実をむすんだのである。この度の、力作・快著の完成を祝すと同時に、春秋に富む著者には、さらなる研鑽を願わずにいられない。

★本書の詳細→http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■石川 了 著 『江戸狂歌壇史の研究』