〔外字〕

●今日の新聞報道によると、経済産業省は大手IT企業と連携して、漢字の〔外字〕に関する問題解決に取り組みはじめたという。現在、常用漢字以外の漢字、日本工業規格(JIS)で定めた漢字約1万字以外の漢字を外字と言っているが、この外字には、私など古典文学研究をしている者も悩んでいる。漢字には、正字のほかに、同字・俗字・異体字など様々に変化した形があり、これらが実際には使用されている。ここに、人名・地名などの固有名詞が絡んできて、一層複雑になる。

●特に、最近、問題なのは、この漢字にコンピュータの普及という問題が関連してきたことである。パソコンでは、JIS漢字の第4水準までしか使えない。他の字は文字化けしてしまう。私は、エーアイ・ネットの開発した『今昔文字鏡』を使用して8万字までは印字できるが、しかし、これをネット界に発信することは出来ない。文字化けしてしまう。

●中国では、約7万字の文字コード体系を決めて、全てのコンピーターへ採用する事を義務づけているという。現在、日本の官民が協力して計画しているのは、約5万8千字のデータベースを作って、世界共通の文字コード体系に反映させようと言うものらしい。日本の文化が表意文字の漢字をベースにしているのだから、これは避けては通れない問題であろう。

■今日の朝日新聞

■『今昔文字鏡