スキャナー

秋葉原の皆様が〔自炊〕できるようになったのも、スキャナーの開発のお蔭である。実は、私も、このスキャナーに、大変お世話になり、心から感謝している。私は、雑誌に発表した論文を纏めて単行本にする事は、現役時代は原則的にしていなかった。しかし、リタイアした後、以前に発表した論文をテーマ別に纏めて編集し直す作業にかかった頃、文章を読み取るスキャナーが低価格で販売されるようになり、大いに助かっている。私の定年に合わせて開発・販売してくれたようなタイミングであった。謝々。

●私は、キャノンのCanoScan Lide 600F という一番安いスキャナーを使用している。文章のみで、カラーは関係ないので、OCRでスキャンしてテキストに保存し、ワードに変換・編集する。現在、『仮名草子の書誌学的研究』の原稿を書いているが、最初に発表したものは昭和48年(1968)であるから、40年前である。書誌情報は数字が多いので、その点でも非常に便利である。〔自炊〕に使用するスキャナーは、もっとハイクラスの機種だろう。

●私は、35年ほど前に、大日本印刷へ見学に行き、色分解のスキャナーを見た事がある。普通、オフセットのカラー印刷は、カラー原稿を光学的に色分解して印刷する。黄・赤・緑・青紫のフィルターをかけて撮影して、黒・シアン・マゼンタ・黄のネガを作って刷版として印刷する。これに対して、その時に見たのは、ドームにカラー原稿を巻きつけ、電子的方法でスキャナ分解するものであった。分色のガラス版もフィルムも不要である。現在の、イメージスキャナーの中のドラムスキャナーだろうと思う。とにかく、コピー機の無い時代に大学生だった私にとって、この進歩には、いくら感謝しても、感謝し足りないくらいである。

■キャノンのCanoScan Lide 600F