歌の道 60余年

●1947年「アララギ」入会、1985年「あかね」主宰。若宮貞次氏は教育と歌の道に生きてこられた。

 万葉の歌を尊び
子規以来の写実の歌
 生活に即した真情の歌
重厚にして清新な歌をめざす

●短歌雑誌は26巻第6号が11月に発行された。60余年間、歌の道に精進し、やがて、短歌雑誌を主宰し、多くの同人を導く、これは、並大抵の情熱ではできないことである。しかし、若宮氏は、それを為し遂げつつ、今も歌の道に燃焼し続けておられる。

若宮貞次氏の最新刊『歌集 続小金井集』が発行された(平成22年10月28日、短歌新聞社発行、B6判、274頁、定価3000円)。

 烏森のいただきにわが植えし櫟の林は老化しをらむ
 亡き母にみちびかれにし持ち山の林の境もおぼろとなりぬ
 権力によりし破壊か石窟に両足のみの仏像二体
 我がままに過ぎてありたる歳月に思ひ及びて机にをりぬ
 老いたりし身に先んじてほろびたりわが生れたる家とその蔵
 ひたすらに紅葉をぞ掃く行ひを仏ごころとなす寺のあり
 子規子規と呼びて仰ぎてありたりしわが半生といはば言ふべし

若宮貞次氏は、私のふるさと、甲斐身延の大先輩である。今年の9月東京原村会で初めてお会いした。我が故郷の先輩にも後輩にも、多くの歌人や詩人や書家やおられる。誇らしいことである。

若宮貞次氏著『歌集 続小金井集』

■短歌雑誌「あかね」2010年11月 第26巻 第6号