谷町筋・上町筋

■「げにやあんらくせかいより、今此しやばにじげんして、我らがためのくはんぜおん、あをぐもたかしたかきやに、のぼりてたみのたみのにぎはひを、ちぎりをきてしなにはづや・・・上寺町の長あんじ、のぼりやすなすな、くだりやちよこちよこ、のぼりつをりつ谷町すぢを、あゆみならはず、ゆきならはねば、しよていくづをれ、アアはづかしの、もりてもすそが、はらはらはら、はつとかへるを、うちかきあはせ、ゆるみしおびを引しめ引しめ、しめてまつはれふぢのたな・・・」

●昨日は、久し振りに大阪へ行った。新大阪から地下鉄に乗って、梅田・淀屋橋・心斎橋と駅名を聞くと、ああ、近松西鶴の大坂へ来たな、と思わず江戸時代・元禄の大坂の息吹を感じる。四天王寺夕陽丘で下車すると、谷町筋と上町筋の間である。いやでも、近松の『曽根崎心中』の三十三所の観音廻りを思い出す。近くには、あの生玉神社もある。江戸町人文学は大坂だな、とつくづく思う。

●私は、仮名草子研究を志した時、まず、東京の本を読み、次には、大阪へ移住して大阪の本を読もうと、真剣に計画したこともあった。実現はしなかったが、なかなか宜しいアイデアだと、今も思っている。4時間に亙る打合せを済ませて、帰宅したのは夜遅くになったが、何か充実感があった。

■現在の、谷町筋・上町筋

■『曽根崎心中』6行本