アップル配信 無断電子化

朝日新聞の報道によれば、アップル社のソフト配信サイト「アップストア」に、村上春樹氏の『1Q84』や東野圭吾氏の『白夜行』などのベストセラーの中国語版が、著者や出版社の許諾を得ずに、無断で電子書籍化されて販売された。中国では、紙の本で、これまでも海賊版が出され、私も何点か格安で購入したことがある。今回の電子書籍海賊版は、単行本を無許可でスキャナーで取り込み、電子化して販売したらしい。『1Q84』は昨年11月に、台北市時報文化出版から発売された。同社では、「(電子版の)内容は我々が翻訳したものだが、電子版には関与していない。これは海賊版だ」と言っているとのこと。

●販売ソフトの一括管理をするアップル社では、各国語を理解するスタッフがいるが、電子書籍の制作者が、正当な著作権者か否かの確認はしていないという。審査するソフトの数が膨大で著作権の判断は難しく、時間がかかるかららしい。また、海賊版への対応は、著作権者と制作者の直接交渉に委ねているという。出版社としては、制作者に連絡がとれないので、アップルに削除するよう要請するらしい。

●11月10日の新聞報道によると、今度は、日本語書籍も、著者や出版社に無断で、アップストアで販売されたという。東野圭吾氏の『容疑者Xの献身』で、日本語作品の海賊版が発覚したのは、これが初めてらしい。発行所の文藝春秋社が、そのソフトの購入者評価欄に、この本は著作権を侵害しているので買わないで欲しいとコメントしたところ、削除されたという。この本は、今月2日に、115円で販売しているのが確認され、削除されたのは、4日の午後だという。1本売れるごとに、約80円が制作者、約34円がアップル社に支払われた計算になるらしい。アップルジャパンは販売本数を明らかにしていないという。

電子書籍の販売をめぐって、著作権・出版権が侵害されている。早急の対応が必要である。

朝日新聞夕刊 2010年11月9日

朝日新聞 2010年11月10日