未完の聖堂、サグラダ・ファミリア

●今日の朝日新聞によると、スペインのバルセロナにある、聖堂サグラダ・ファミリアは、着工から130年経過したが、未だに完成していない。7日、ローマ法王は献堂式を行い、この建物全体が「神の家」になったという。これまでは地下にある聖堂を祈りの場としていたが、着工130年後に初めて、聖堂全体が正式の祈りの場になった。新聞には、1階の大空間を誇る聖堂の写真が掲載されている。

●平成14年(2002)8月20日、私はこの建物の前に立って、何か、言い知れぬ感動を覚えた。もともと、建築に興味を持っていたこともある。エレベータで上まで上がった。設計者・ガウディは、どのようにして、この奇妙な建物の構造計算をしたのだろうか。教会の地下の博物館で、妙な展示物を見た。大きな空間に天井から無数の糸が垂れ下がり、その先端には鉛の布袋が付けてあった。袋は、実に複雑な曲線を描いていた。これを天地逆転させて、空間を作り出したらしい。ガウディは、計算や設計図よりも、このような模型を多用して、より高く、より広い空間を求めたらしい。この建物は、実に複雑な装飾に満ちていた。構造計算と装飾がギリギリのところで調和している建物のように、私には思えて、そこに、言い知れぬ感動があったのだと、今、思う。見学した時も、白い石を刻む人々に出合った。この建物は、敬虔な信仰心をもつ人たちによって継続建設されている。

朝日新聞 11月8日


■2002年8月20日 聖堂の前の公園から撮影、ニコンF4