日本の金型技術を守る

●今日の「齋藤金型製作所」の齋藤社長のブログで知ったが、政府が、日本の金型産業の支援に動き出したという。9月17日付の日本経済新聞は、次のように報じている。

「金型2社、政府主導で統合
 自動車用金型で国内2位の富士テクニカは同3位の宮津製作所(群馬県大泉町)の事業を買収する。宮津は事業譲渡後に会社を清算、富士テクニカは企業再生支援機構から8割の出資を受け入れ経営基盤を強化する。金融危機後の受注急減で金型各社の経営環境は厳しさを増している。両社は統合を機に先端技術の開発や海外展開を加速、生き残りを目指す。日本のものづくりの根幹を支えてきた金型産業の再編が政府主導で動き出す。

 金型の製作には高度の熟練技術が必要で、日本が長年にわたり強みを持ってきた分野。国内の金型企業に対しては、中国など新興国の企業から買収提案が水面下で多く寄せられている。最大手のオギハラ(群馬県太田市)は昨年、タイ企業の傘下に入った。政府は大手の経営再建を支援し、国内の金型産業の地盤沈下を食い止める。」

●過日もテレビで報じていたが、中国は、日本の優秀な技術を持った金型社員を高額の年収で採用し、その技術を導入しようと動いているという。私は、現役の頃、皮革の分野では世界的な研究者・岡村先生と親しくして頂いたが、先生が中国から招かれて講演する場合、政府は先生を国賓待遇で招いていたという。講演の聴講者の熱心さは、凄まじいばかりであったと言われた。中国は技術面では、日本よりも10年遅れているとも、教えてくれた。

●今、中国は、日本の優れた、金型技術の導入に動いている。私は齋藤金型製作所の工場を見学した時、担当者の説明に、この世界の極限の技術をかいま見た思いがした。金型の平面を創り出す熟練工の神業を、政府は守るべきである。

■「齋藤金型製作所」の齋藤社長のブログ

日本経済新聞 2010年9月17日 朝刊