「なにごともふるき代のみぞしたはしき・・・」

山本秀樹氏著『江戸時代三都出版法大概――文学史・出版史のために――』が発行された。2010年2月25日、岡山大学文学部発行、非売品。(岡山大学文学部研究叢書29)。巻頭に著者の献辞の紙片が入っている。

「なにごともふるき代のみぞしたはしき御学恩に謝したてまつる 著者」

●全322頁、前提137頁、一覧50頁、この労作の著者のことばであれば、深くしみじみとしたものを覚える。「好古成癖」に関して数日前に記した私としては、一層、この言葉が心に染み入る。

●著者の山本氏は、「あとがき」によれば、京都大学の卒論では、上田秋成の『春雨物語』の注釈的研究に取り組んだという。その過程で熊沢蕃山に興味をもたれ、やがて、京都の出版町触を探索し、それは三都に及び、本書の研究へと進んでいったと言われる。興味に従って研究対象は移り変るが、その根底には「近世文学」がある。

●山本氏と同じように若い研究者で、親しく交流のあるN氏も同様なスタイルで研究されている。私は、彼の研究が大きく実を結ぶことを信じて、楽しみにしているが、この度の、山本氏の労作に出会って、ますます、このような、研究姿勢も、人によってはアリと信じている。

★本書の詳細目次→http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

山本秀樹氏著『江戸時代三都出版法大概――文学史・出版史のために――』