ますます お元気 草間彌生さん

●『文藝春秋』の10月号の巻頭、グラビアの「日本の顔」に、林朋彦氏撮影の、前衛美術家「草間彌生」が載っている。現在81歳だというが、実に若々しい表情である。83歳で御他界なされた表彰先生の表情もみごとであるが、草間さんの創作中の様子もみごとである。

●草間さんは、現在、10人のスタッフと共に、創作に打ち込み、「あいちトリエンナーレ」には新作を発表されているという。かなり前になるが、ニューヨークのオークションで、日本の現存画家では最高の価格で、草間さんの作品が落札されたと話題になった。今、草間彌生さんは、押しも押されぬ「日本の顔」になった。

●私が草間さんと初めてお会いしたのは、神田の出版社の辞典部時代であるから、もう30年以上前の事である。草間さんが、創作『マンハッタン自殺未遂常習犯』を出版した時のことである。著作権の問題で相談に乗ったのだが、アメリカから帰国したばかりの草間さんは日本語がよく話せず、筆談だった。当時、日本では余り知られていなかったが、アメリカやフランスでは、知れ渡った前衛画家であった。

●その後、昭和女子大へ移ってからも、草間さんとの交流は続いた。実は、昨夜、『文藝春秋』を妻に見せたところ、妻も前衛芸術には関心があり、草間さんの水玉模様のかぼちゃの作品を購入して、美容院に飾っているという。もう1つ、昨夜初めて知らされたが、私の留守の折に、草間さんから電話があった時、草間さんは、まず、私との関係をキチント説明してから、要件に入ったという。それも、毎回である。著作権の問題といい、この電話の対応といい、さすが、アメリカ仕込だと感心する。いつまでも、お元気で、創作に打ち込んでもらいたいと願っている。

■『文藝春秋』10月号の巻頭、「日本の顔」、林朋彦氏撮影


■妻が購入した草間作品