読書の秋は 長谷川卓の『犬目』で始まる
●今日から9月、読書の秋である。申し込んでいた、黒田日出男の『江戸屏風の謎を解く』(角川選書)と、長谷川卓の『犬目―高積見廻り同心御用控』(祥伝社文庫、22年9月5日発行、619円+税)が届いた。
■『犬目―高積見廻り同心御用控』目次
第1章 助け働き
第2章 支配違い
第3章 御家人・小野寺定十郎
第4章 半 助
第5章 墓 標
第6章 船宿<若松屋>
第7章 落 着
●時は、文化7年(1810)陰暦8月9日、場所は江戸は明神下から下谷御成街道から始まる。まず、冒頭の、土砂降りの中で、御小普請世話役の吉村治兵衛を襲う白刃の場面が凄い。
●本書のオビには「名手が描く人情時代、最新作!」とある。私は、この作家とは、親しく話を伺うチャンスに恵まれた。泉のように湧き出る創作意欲とアイデア、まさに名手、この書き下ろし時代小説を読むことから、私の読書の秋は始まる。