『短冊の美』 陶玄亭コレクション

岐阜市歴史博物館から『陶玄亭コレクション 短冊の美』が発行された(平成22年3月31日発行)。別冊で、『陶玄亭コレクション目録 色紙・懐紙・書状の部、和本の部、地図・写真などの部』も同時に発行された。陶玄亭主人・安藤武彦氏が、長年研究されてきた、近世初期の俳人・斎藤徳元を中心にして収集された、俳諧関係資料が、岐阜市歴史博物館に寄贈されたのを記念して、編纂・刊行されたものである。

●同博物館では、この安藤氏のコレクションの寄贈を記念して、平成19年11月に「道三ゆかりの武将俳諧師 斎藤徳元」展を開催した。私も閲覧させて貰ったが、資料の内容も展示の構成も充実していた。その展示に関連して、今回の『館蔵図録 陶玄亭コレクション 短冊の美』の刊行になったもの。

●図録には、「短冊蒐めこそ実事求是の学であれ」という、安藤氏の1文が寄せられている。多治見の女子高時代、名古屋の藤園堂書店で、初めて斎藤徳元の短冊に出会ったという。それから徳元の短冊探索が開始されたと言われる。この文章の中には、京都大学野間光辰先生から頂いた書状も紹介されているが、安藤氏は、研究の過程で、多くの先学の御指導・御配慮に恵まれた。その結果として、2冊の大著『徳元研究』をまとめることもでき、さらに、このように、御自分の蒐集された文献資料が、徳元ゆかりの博物館に所蔵されることになったのであるから、研究者として、これ以上の幸せはないだろう。御苦労さまでした。

■■『館蔵図録 陶玄亭コレクション 短冊の美』


■、『陶玄亭コレクション目録』