苔寺 西芳寺

NICOSのPARTNERの今月号に、京都の禅寺・西芳寺の見事な苔の庭園の写真が載っていた。西芳寺は、禅僧の夢窓国師が再興したという。西方浄土から名づけた「西方寺」と、穢れた不浄の場所を表す「穢土寺」を統合して「西芳寺」として再興したのは、暦応2年(1339)だという。夢窓国師は、この寺に庭園を造った。池泉回遊式庭園と枯山水庭園を結合させた庭園。天国と地獄を結びつけることから、庭園と向き合う者に、死生観を考えさせようとしたのだと伝えられている。

●寺の逸話によれば、夢窓国師は「私が庭に夢中になることを批判しないでほしい。私は庭の美しさによって心の清らかさを磨こうとしているのだから」と言って、修行僧たちには、庭の掃除当番を置くように遺言したという。以来、670年、庭園は弟子たちによって守られてきたのだという。

●苔には、適度な湿度と陽の光が求められるという。西芳寺の庭の見事な苔の風合は、600年以上の自然の年月と、師の言葉を忠実に守って、その長い年月を自然と対話してきた、多くの禅僧の真心が伝わってくる。

●妻が熱心に育てた、我が家の、猫の額ほどの庭に、ある年、突然、苔が生えだした。設計した成沢さんは計算していたのか、不明であるが、10年後くらいであった。庭の手入れをしてくれている、大野さんや大熊さんの心配りもあるだろう。苔が大好きだった、小沢先生に見てもらいたいが、それは、叶わぬ夢になってしまった。

■■苔寺 西芳寺 NICOSの『PARTNER』2010・7−8 より



■■15年目の我が家の苔の庭