iPad 旋風

●所用があって、家を空けている間に、例のアメリカのアップルのアイパッドを廻って、日本の出版界に大きな動きがあった。日本最大手の講談社が動いた。講談社は、15日に発行された、京極夏彦の『死ねばいいのに』を、28日発売のiPad で読める電子書籍としても販売すると発表したという。えらい事になった。

●『死ねばいいのに』は紙の本は定価1700円であるが、販売開始から2週間はキャンペーン価格で700円、以後は900円だという。電子書籍が安いのは、製本・印刷費、輸送費・倉庫管理費、取次・書店への報酬がかからないため、という事らしい。出版流通革命である。とはいえ、国内の出版物の売上げは年間約2兆円、電子書籍の5年後の規模はその約1割と見込んでいるという。そうは言っても、流通革命には違いなく、書店には危機感が広がっている。

講談社によると、電子出版の切り札は、人気漫画の新刊だと言う。今後、他の出版社も参入してゆくことになると思うが、紙の本と電子版の本と共存してゆくのだろう。今後の展開が楽しみである。

■■朝日新聞 2010年5月21日