『可笑記評判』 → 『砕玉抄』

●ようやく、『浅井了意全集』仮名草子編・第3巻『可笑記評判』の再校の校正が終わった。長かった。『可笑記評判』全10巻、597丁、1194頁。全体では414000字+振り仮名、おそらく、80万字以上の著作である。著者は仮名草子作者の浅井了意、しかし、そのヘベースになった『可笑記』の著者は、如儡子・斎藤親盛、ゆえに、およそ半分の著者は、如儡子、という事になる。

●私は、この作品を、『可笑記』研究の第1歩として翻刻した。初めての翻刻作業に、この膨大な著作を選んだが、それは、少し無謀な選択であったと反省している。

①昭和45年(1970)『可笑記評判』近世初期文芸研究会発行、底本・東大本。『可笑記』本文と振仮名省略。自費出版。35歳。
②昭和52年(1977)近世文学資料類従『可笑記評判』全3巻、複製、勉誠社発行、底本・名大本。42歳。
③平成6年(1994)『仮名草子集成』14・15巻、朝倉治彦氏と共編、東京堂出版発行、定本・深沢本。58歳。
④平成22年(2010)『浅井了意全集』仮名草子編・第3巻、本文入力は中島次郎氏の協力を得て、花田富二夫氏と江本裕氏に校正をして頂いている。岩田書院発行(予定)、底本・深沢本。75歳。

●このように、同じテキストを4回手がけたことになるが、目的も方針もかなり異なる。これだけやれば満足かというと、そうでもない。それぞれに、少なからず不満が残っている。特に、今回は、巻1から巻4まで校訂した段階で、PC上のデータが消失するというアクシデントに見舞われた。2008年から校訂に着手、今、ようやく、トンネルを抜けたという思いである。もちろん、この間に他の事も入れたが、このような結果になった。

●しいて言えば、②の写真複製の仕事が、良かったと思っている。それならば、⑤として、もう1度、納得するテキストを出せばよいかも知れないが、そのような情熱は、もはや残っていない。私には、この次に、如儡子百人一首の注釈書『砕玉抄』が控えている。これも、膨大な著作である。

■■『可笑記評判』 如儡子・斎藤親盛の奥書 

■浅井了意の奥書