大東急記念文庫 閲覧 一時 休止

●世田谷・上野毛の大東急記念文庫から連絡が来た。五島美術館は、本年開館50周年を迎えるが、施設の老朽化が進み、大規模な増改築を行うことになった。併設されている、大東急記念文庫も、閲覧室・事務室等の改築のため、閲覧業務を休止する事になった。休止予定期間は、平成22年11月29日(月)〜平成24年秋頃、であるという。古典文学等の研究者は注意する必要がある。古典の貴重な原本を所蔵し、閲覧させてくれる文庫だからである。私は、早速、「近世初期文芸」のHPにニュースをとしてアップした。

●思えば、私もこの文庫には大変お世話になった。最初は、長澤規矩也先生に学生時代から連れて行って頂いていた。1人立ちしてからの最初の調査は、何といっても、仮名草子の『可笑記』の寛永19年版11行本の調査であった。昭和43年に第1回目の雑誌発表をしたが、この時、11行本の中では、大東急の本が最善本と判断して、再調査した。従って最初の調査は、昭和38年頃だろうと思う。この再調査の時、担当者から、前回調査の折に私が複写したフィルムを見せて頂いた。当時は、文献複写には、ミニコピーフィルムかFを使用し、高感度のSやSSは使わなかった。白黒を鮮明にするには、複写専用のミニコピーか、やや硬調のFを使用した。ただ、ミニコピーフィルムは、階調の許容範囲が狭く、露出を慎重に決めなければならなかった。大東急のネガは、少し露出オーバーで黒過ぎた。今でも恥ずかしく思っている。その後は、専門業者に依頼する方式に変った。

●とにかく、五島慶太東急電鉄の収集した、この文化財には、多くの学恩を蒙っているので、50年間近く、御苦労様でした、とお礼を言わなければならない。

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