校正 という仕事

●「【校正】②印刷物を印刷する前の過程で校正刷りを原稿に照らし合わせて、誤りを正すこと。」(日国・2版)。出版には欠かせない仕事で、地味ではあるが、その本の価値を高めたり低めたりする、重要な仕事である。

●何時もお世話になっている、稲栄社印刷㈱の吉田会長さんが、野村保惠著『新しい 校正者の基礎知識』(2009年11月20日、日本エディタースクール出版部発行、定価2000円+税)を送って下さった。著者の野村氏と吉田氏は都立工芸学校の卒業だという。吉田氏はその後、早稲田に進んで、印刷会社を創立されたが、野村氏の経歴は、帝国印刷(図書印刷)・学校図書丸善出版部を経て、あるふぁ企画を設立というキャリアを持つ。

●『新しい 校正者の基礎知識』の内容は、序/0、はじめに/1、仕事の流れと原稿整理・指定/2、校正とは/3、漢字の字体/4、縦組の組版ルール/5、横組の組版ルール/6、原稿のいろいろ/7、素読み校正/8、社会科と理科/9、おわりに/あとがき・参考文献・索引・本書の製作データ、となっている。

●巻末の本書の製作データによると、編集部は、著者がWordで入力した原稿を、電子データとプリントアウトしたものを受け取り、プリントアウトに原稿指定し、データを一旦テキストにした後にDTPで組版したという。校了になった後、データを印刷会社へ入稿したという。現在の出版の現状がわかる。

●本書の著者は、活字印刷の時代から、現在の出版状況まで、現場で活動し、そのキャリアを踏まえて、校正の基礎知識を著している。どの項目を読んでも、具体的で有益なものが多い。現在の出版界で活躍される校正者必見の書と言っても良いだろう。

●私は、腰掛でお世話になった出版社の編集部時代に、日本の出版社が設立した日本エディタースクールの校正コースを履修している。講師は、岩波書店中央公論平凡社等のベテランの方々だった。その頃、身に付けた知識が、専攻の日本古典文学の校訂の時に非常に役立っている。

■■野村保惠著  『新しい 校正者の基礎知識』