想い を 言葉に刻む・・ 『黒豹』 122号

●詩誌『黒豹』122号 2009年11月30日 発行

巻頭に、「雪が降る」・・尼崎安四、 「菊」・・竹内勝太郎、が載る。続いて、

  緑の季節に      諫川正臣

当用日記にいつも記す年頭所感
今年こそ充実の一年でありたいと

毎日が何となく ふわふわ過ぎるとき
こんなことでいいのかと
特攻の若者たちへの鎮魂の書を読む
日記 書簡 辞世 遺書
張り詰めた気にひきしまる思い

ただ死ぬための訓練に明け暮れる日々
あと半年 あとひと月
最後は知覧で 鹿屋で 命を待つ
残りのいのち あと何日
一日一日をどんな思いで生きたか
一日生きることのはかり知れない重み

六月某日 遂に出撃の命下る
 あんまり緑が美しい
 今日これから
 死にに行くことすら
 忘れてしまいそうだ

梅雨どきのもやもやを晴らそうと
緑一色 稲田の道をバイクで飛ばせば
胸いっぱいに膨らんでくる青い風
生きているこの確かさ

今を生きることの積み重ね
さあ これから

■■詩誌『黒豹』122号 2009年11月30日 発行