今年も、寂しい知らせ

●年末になると、年賀状の関係があって、喪中の知らせが届く。ポストを見るたびに、寂しくなり、先方のお心の内をお察し申し上げる。お父さんを95歳で、奥さんのお母さんを96歳で失ったMさん。奥さんのお母さんを84歳で失ったIさん。78歳の兄さんを送られたOさん。6月に妹さんを失ってしまったSさん。御主人が、長い闘病生活の末、遂に他界されて、悲しみに沈む詩人のSさん。8月に、T先生は、大学教授在任中、69歳で急逝された。そのことを知らせる奥さんからのハガキ。世を去るのは、人の世の常とは分かっているが、あわれで、寂しい知らせである。

●11月1日、75歳の夫が永眠いたしました。というハガキが、今日、ポストの中にあった。一抹の不安はあったが、まさかと思っていたことが起きてしまった。柳牧也先生は私が編集している『近世初期文芸』に毎号、論文を執筆して下さっていた。原稿締切は9月末日である。8月30日付けの連絡で、6月上旬から体調を崩し、その中で何とか原稿を書き進めていたけれど、ついにダウンして入院しました。未完の原稿は送れませんので、今度の号はお断りします。連絡が遅れたことをお許し下さい。という内容。私は、締切が少々遅れても結構です。ギリギリまで待って最後の方にでも入れますので、是非まとめてみて下さい、とお願いしておいた。その返信が、この喪中のハガキである。

●柳先生との交流は長い。第3号(昭和48年・1973)からである。途中ブランクはあったが、前号まで、毎号、意欲的な論文を執筆しておられた。しかし、手紙やメールのやり取りはあったが、一度もお会いしたことが無い。電話で直接話したことも無い。だが、妙にウマが合って、ここまで続いてきた。また、ひとり、大切な人を私は失った。

★★★2009年11月29日


■■『近世初期文芸』第25号 2008年12月発行