ベルリンの壁崩壊から20年

●10月31日、ドイツでは、「ベルリンの壁」崩壊から20年を迎えて、記念式典が開催されたと報じていた。コール元独首相、ブッシュ元米大統領ゴルバチョフソ連大統領が出席したという。1989年11月9日、東西ドイツを分断していた壁が破壊され、東から西へ人々が流れ込んだ。そのニュースに感激したことを今も鮮明に覚えている。

●壁崩壊から9年後に、私はベルリンの壁を見た。崩壊した壁の一部が、破壊されずに、そのまま保存されていた。鉄道のレールも東と西で分断されていた痕跡を見た。ブランデンブルク門の前では、旧ソ連軍の帽子や勲章が売られていた。東西ドイツが統一して、本当によかった、と心の底から思った。ボンに移転していた首都もベルリンに戻るとのことで、建物の工事が急ピッチで進んでいた。

●しかし、ガイドさんは、東は失業者が増え、西は補助のための税金が8%もかかって、不満も聞かれると言っていた。私は、現地の苦悩を初めて実感した。これは、韓国と北朝鮮も背負う問題であろう。

●崩壊から20年経過した、ドイツやハンガリー、東西ヨーロッパの現状の経済的な問題点を、昨日のNHKのクローズアップ現代「冷戦崩壊後の思わぬ現実 欧州は今・・・」で取り上げていた。10年前、私たちにブダペストを案内してくれた、大学院に席を置くガイドさんも、自分の国の今後が非常に心配だと言っていたが、今、失業率9.9%、消費税25%、極右翼の台頭など、深刻な問題が生じている。

●EUの統合に目を見張り、統一貨幣ユーロのゆくえを見守っているが、優れた民族は、きっと、様々な問題を克服してゆくものと思う。世界連邦を提唱した哲学者・谷川徹三先生も、あの世で見守っているだろう。

■■ブランデンブルク門  1997年8月9日撮影

ブランデンブルク門 の前には、旧ソ連軍・東ドイツ軍の帽子・勲章などを売っていた。

■西側から見た壁

■西側から見た壁

■東側から見た壁 壁に隣接して緩衝地帯があった。