DOOR COUNTY のコーヒー

●尊敬する国語学者のS先生から封書が届いた。開封してみたら、中にはコーヒーの袋が1つ入っていた。この夏、先生のお嬢さんが結婚されて、先生御夫妻は結婚相手の花婿さんの所に行かれたという。アメリカのウィスコンシン州、ドアカウンティという所だと言う。ミシガン湖の側で、北海道のように涼しい所だとも伝えて下さった。以前、先生の奥さんは美人で、お嬢さんも大変な美人だと、K先生から伺っていたので、アメリカの青年と結ばれたこともうなずける。

●先生は、1週間ほどドアカウンティのホテルに滞在された。散歩のついでに、ホテルの近くの老舗のコーヒー店で、現地の小さな袋のコーヒーを1つ求めた由。私がコーヒー好きなのを思い出して下さったらしい。そういえば、以前、ブラジルのコーヒーを頂いたこともある。インスタントのコーヒー、42.5gであるが、先生がアメリカの地元のコーヒー店から求めて、スーツケースに入れて、持って来て下さったことを思うと、涙が出そうである。袋にGourmet Coffee とあったので、つい手が出たのかも知れない。結婚式は8月、帰国後、すぐ送ろうと思ったけれど、私がコーヒー通で、長年、神田のムラタヤの豆を愛用している事を思い出して、ついつい、送りそびれていたと申される。そこへ、当方からアドレス変更の依頼メールが届いたので、踏ん切りをつけて送ります、と一筆箋が入っていた。いかにも、先生らしくて、嬉しくなってしまう。

●もう1つ、S先生は拙著が出た時、新刊紹介を執筆して下さった。原稿締切が1月10日だったので、そのお正月は、祝杯もソコソコに、毎日、私の面白くもない本を読んで下さった。そのことをボソリと洩らしておられた。私は、この事を思い出して、もちろん感謝はしているが、何度も何度も笑った。お酒大好きな先生が、存分に呑めるお正月に、食事を済ませると書斎に行かれ、拙著をお読み下さった、その御様子が浮かぶからであった。新刊紹介を拝読すると、本当に、よくお読み下さったことが、ヒシヒシと伝わってくる。S先生、有難うございました。

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