国会図書館、所蔵本のネット公開構想

●今日の、朝日新聞・夕刊によると、国会図書館は、10年度末には、92万冊の蔵書がデジタル化される見込みだと言う。これは同館が所蔵する国内図書の4分の1に当るという。スゴイ数である。これらを、非営利の第三者機関「電子出版物流通センター」(仮称)を通して、有料で配信する構想だいう。

●2007年1月6日に、私は、こんな思いをウェブ日記に記した。

「今日の朝日新聞の報道によると、ネット検索業者育成のためにアメリカ並みの法改正に着手するという。結構な事である。知的財産の保護などと言って、とかくしり込みしがちな状況が続いていた。ネットの行く先は誠に不明なところがあり、対応がむつかしい。しかし、グーグルやヤフーにばかり依存していては遅れを取ることになるだろう。
ハードコピー全盛の日本などは、そこにとらわれてソフトコピーへの対応が鈍いように私には思える。パソコンの普及が日本よりも発展途上国の方が急速に普及していると聞く。こんな点とも関連しているのだろう。
私などの関係が深い、国立国会図書館国文学研究資料館京都大学図書館・東京大学図書館・早稲田大学図書館等の変貌ぶりは目覚しい。確実に進んでいて、便利になっている。ネット社会はギブ&テイクの原則を自覚して、自分の持っている情報は、ドシドシ公開し、外部からも大いに吸収しなければ、取り残される。そのルールの決め方は、むつかしいが・・・。今後、専門家の叡智と鋭い感覚と機敏な対応が求められるだろう。世界の各国は、常時、研究・観察・検討・対応する機関を新設することになるように思う。」

●新構想は、
作家・出版社→(許諾)→著作権管理の団体→(許諾)→電子出版物流通センター(仮称)→(データを公開)→利用者→(アクセス料)→電子出版物流通センター→(使用料)→著作権管理の団体→(使用料)→作家・出版社
こんな流れで、国会図書館は電子出版物流通センター(仮称)にデータを無料で貸し出すという。

国会図書館日本文芸家協会日本書籍出版協会の3者の意向をまとめるのは、松田政行弁護士だという。松田氏は「日本の出版文化の配信は他国の私企業ではなく、日本が主体的に進めるべきだ」と話しているという。その通りであろう。ただ、これを実施する場合、様々な具体的な問題が生じることが予想される。それは、その場で対処すればよい事である。

■■朝日新聞・夕刊 2009・8・25