歌(短冊)の価値

●私は、今、近世初期の仮名草子作者・如儡子、斎藤親盛の伝記をまとめていて、スコーし疲れ気味である。天文・弘治・永禄・元亀・天正・文禄・慶長・元和・寛永・正保・慶安・承応・明暦・万治・寛文・・・と言った年号の時代である。つまり、大河ドラマ天地人の時代である。史料は少ないし、その批判も大変である。史料批判抜きの利用は慎まなければならない。

●ところで、今日、古書店から、鈴木重嶺の短冊が2枚届いた。同一書店からである。いずれも保存は良好で、いずれが、いずれとも遜色は無い。ところが、価格が問題である。一方が他方の倍の価格である。この違いは何処から生じたのであろうか。因みに、歌は、

●「夜初雪 つもるまてふらせてしかなやり戸なく めつらしと見る夜はのはつゆき  重嶺」

●「都帰雁 さくはなのみやこをすててたつ雁の ふるさとゆきて見まほしきかな  重嶺」

●私は、かねがね、古書店主のモノを見る眼力に敬意を捧げてきた。古書の判断で参考の御意見を頂いたことも少なくない。古書店の側からすれば、価値の無いモノを高く仕入れると、損をする。つまり、1点1点の取引に生活がかかっている。真剣にならざるを得ないだろう。御意見を尊重する所以である。研究者は、誤った評価をすれば、何時までも笑いものにされるし、第一、その作者に対して申し訳が無い。ゆえに真剣に評価しなければならない。

●果たして、この短冊は、いずれが、いずれか、鑑定やいかに・・・。

■■その短冊