長谷川 卓 の最新作 『雨乞の左右吉捕物話』

●長谷川 卓 の最新作『雨乞の左右吉捕物話』(2009年4月15日、629円+税)が、書下ろしで徳間文庫から出た。

「力を貸しておくれな」女掏摸(すり)の千が下っ引の左右吉に掌を合わせた。昨夜、仲間の勘助が刺し殺されたらしい。様子を覗っていた隣人の話では、若僧と頬傷のある男ふたりが、脱ぎ捨ててあった着物の袖裏に隠されていた紙切れを持ち去ったという・・・。仇持ちの浪人日根を助太刀に探索を始めた左右吉の眼前に、思いも寄らぬ手強い敵が立ちはだかった! 」 (書下し本格派捕物帳)

●これは、カバーの文章である。私は、長谷川卓とは、かなり前からの付き合いであった。昭和女子大学の同僚としてであり、作家であるとは全く知らなかった。しかし、折々、話していると、文学談義などで、妙に話が合う。その後、実は、『昼と夜』という作品で、群像新人文学賞を取り、『百舌が啼いてから』で芥川賞の候補になっていることを知った。2作品とも読んだが、見事な出来栄えだと思った。

●それから、彼は本格的な作家活動に入っていって、次々と傑作を世に送り出している。今度の新作も、「乾き切ったこの世に潤いをもたらす」と本書の帯にあるように、きっと、私にも楽しいひと時をくれるものと思う。これから、読み始めるが、ワクワクしている。

■■『雨乞の左右吉捕物話』