『仮名草子集成』 オンデマンド復刊

●『仮名草子集成』第45巻が発行された。花田・大久保・菊池・柳沢・湯浅 編、2009年3月15日、東京堂出版発行、定価18000円+税。『続清水物語』『そぞろ物語』『曾呂里物語』『続著聞集』を収録している。

●この『仮名草子集成』は、昭和55年(1980)に第1巻が発行された。以来30年間、朝倉治彦氏の御努力によって今日まで継続されてきた。第39巻からは、私なども関わって、新体制で刊行を継承したが、大変な学術的出版事業である。

●これらの中で、第2・3・4・6・8・10巻 は、長い間、品切れ状況であった。発行所の東京堂出版は、これらの6巻を、オンデマンド方式で復刊するという。研究者・図書館にとっては有り難いことである。

●1990年(平成2年)の頃、私は昭和女子大学で出版文化史を講義していた。学生には人気があり、定員80名ギリギリだった。この講義の最終の辺りは、出版界の現状についても言及していた。そこで取り上げたのが、DTPやODPであった。On Demand Publishing 要望に応じて対応する少部数の出版であり、それが様々な状況変化を経て今日に及んでいる。

●このオンデマンド出版は、学術的価値の高い研究者向けの内容の書籍などには最適である。その意味で、今回、東京堂出版の広告を見て、納得がゆくし、感謝している。

■■『仮名草子集成』第1巻 昭和55年5月12日発行、530頁、13000円。文部省、昭和54年度科学研究費補助金(研究成果刊行費)による出版。

私は、この第1巻から全巻に亙って、編者の朝倉治彦氏から御恵与された。この学恩は生涯忘れない。