戦場の兄の前で

●私の兄は2人、第二次世界大戦で命を捧げている。1人は陸軍工兵として、1人は満州開拓義勇軍として、1人は22歳で、1人は17歳で、この世を去っている。私は末っ子ゆえ、兄の記憶も余り無く、深く穿鑿することも無く、何となく過ごしてしまった。上の兄はガダルカナルの激戦で戦死したと聞かされてきた。こんな事を、教え子のT君に漏らしたら、彼は熱心に調べてくれた。どうも、ガ島ではなく、中国らしいと言う。

●実家に連絡して、兄達の写真を送ってもらった。D300で複写して、T君にも送り、さらなる調査をお願いした。モノクロの2人の兄の写真を並べて、無言の対話を交わした。涙が止め処も無く流れる。2人は、親を思い、家を思い、私達兄弟を思い、国のことを思い、この若さで、泥まみれになって、この世を去ったのであろう。

●私は、今、『斎藤親盛(如儡子)の伝記資料』の原稿を書いているが、デスクの脇に兄達の写真を貼って、その短い生涯に対して、心からの哀悼と感謝を捧げながら、自分の為すべき事を進めている。

■■第二次世界大戦で戦死した、2人の兄と1人の従兄弟。