丸山茂氏の『国文学研究史』

●丸山茂氏の『国文学研究史』が、文芸社から出た(2009年3月15日発行、B6判、136頁、定価1100円+税)。昨年3月に新風社から出版されたが、今回、索引を追加し、難しい人名や書名に振り仮名を付けている。小冊であるが、大きなテーマを分かりやすくコンパクトにまとめている。

●実は、著者は、すでに、1998年に66歳で他界されている。盛岡大学での講義ノートを、故人の奥様が、心をこめて整理して出版したものである。著者も、きっと黄泉の世界で喜んでいるものと思う。

●丸山茂先生は、私にとっては、法政大学の先輩である。重友毅先生の主宰されていた日本文学研究会の常任委員であり、私は学部の頃から御指導頂いた。学部4年の時、重友先生から、上田秋成研究会で発表しないか、というお言葉を頂き、早速、「吉備津の釜」試論の原稿を提出したところ、丸山先生が査読して下さり、その結果を重友先生から伺った。評価は厳しいものであり、結局、発表は中止となったが、この一件は、私の研究への扉を開いてくれる出来事となった。日本文学研究会の例会は、午前中演習、午後各自の研究発表であったが、丸山先生には、この例会でも多くの御指導を頂いた。

●さらに、昭和女子大学へ勤務する時には、清水先生を介して、丸山先生の大学院時代のノートを閲覧させて頂いたことがある。奥様が初版の「あとがき」で「奇麗な、やさしさがにじみでている主人の字です……。」と述べられているように、重友ゼミの内容が実に丁寧に、記録されていた。本書を拝読すると、丸山先生が弘前学院大学盛岡大学で講義されている様子が目に浮かぶようである。66歳という早すぎる先生の御他界は、誠に残念であるが、本書の刊行を丸山先生は、あの世で、きっと喜んでおられることと思う。

★本書の詳細は→http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■■丸山茂氏著『国文学研究史