転職

●1月・2月のこの時期は、転職の話題が多い。マスコミでも国家公務員の天下り・ワタリがしきりに報道されている。明治以降、築き上げてきた公務員制度は、日本の国益を守る役割を果たし、その制度は優れていると思うが、どうも、年齢を重ね過ぎて、動脈硬化を起こしているようだ。私の専攻である、江戸時代の徳川幕府の組織も、実に巧妙に築きあげられてきたが、その結果として、250年経過した幕末頃には、ツジツマあわせの虚構もチラホラとしていて、やがて維新と共に大変革をもたらした。現在の公務員制度も、そろそろ、大鉈を振るった方がいいかも・・・。

閑話休題。この季節、就職、転職の話題が飛び交う。私も、振り返ってみると転職の人生と言ってもいいかも知れない。昨年、ロータリーから、我が生き方について話すように依頼された。整理したら、高校→村役場戸籍係→大学進学→出版社A(大衆小説・純文学、腰掛→長期)→出版社B(辞典部、企画保留)→大学となった。70年の過去を振り返ると、自分の強い意思で動いた、というよりも、周囲の方々の御配慮によって流れてきたと言った方が当っているように思う。しかし、その転職の場面場面では、自分の人生ゆえ、熟慮はしてきた。

●大学も24年間勤めたので、教え子も少なくない。毎年、正月には年賀状をもらい、知らず知らずのうちに、一人一人の教え子の人生の軌跡をたどることにもなる。銀行→着物制作、商社→陶芸、出版社→出版社、証券→大学図書館数寄屋橋阪急→保母→養護施設、予備校講師→大学助手・・・。意外に転職は多い。おそらく、私への報告の時には、落着した後ゆえに、淡々としていたが、その直面した時には、それぞれが、真剣に自分の生き方を熟慮して決断したのであろう。一人一人の教え子の今を思うと、よく頑張ったね、と言ってあげたくなる。