筆順配列の漢和辞典

●先日、久し振りに千葉の姉に電話したら、前に上げた辞典がボロボロになった、ともらしたので、書斎に何冊かあったので、それを送って上げた。私の姉であるから、年齢も相当のもので、視力も落ちているハズ。ついでに書店で大活字の辞典を4冊揃いで同封した。喜びの電話が、今きて、辞典を活用するために長生きすると言っていた。嬉しい。

●ところで、長澤規矩也先生の推薦で、誠文堂新光社の辞典部へ行って、寝食を忘れて仕上げたのは、諸橋轍次門下の、秋山・今井・尾関・坂本の各先生が編纂した『筆順部首 机上漢和辞典』である。 この漢和辞典は画期的な部首を採用している。全ての漢字を、筆順の第1画によって「、・一・礀・ノ・¬・L」の6つの部首に配当するものである。三省堂の長澤先生の『明解漢和辞典』も部首を改良して、若い人にも分かりやすくなっていたが、この筆順部首は、漢字の書き始めの第1画によった、画期的なものであった。私は、この諸橋門下の先生達のアイデアに感動して、万難を排して取り組んだ。完成したのは、昭和46年9月10日、以後、昭和女子大学へ移るまで、ロングセラーとなって、増刷を重ねた。現在は絶版になってるようである。

●当時、文部省から発行された、『外国人のための漢字辞典』というのがあった。この辞典と、『筆順部首 机上漢和辞典』と、どちらが先か、一度調べたが、私としては、結論が出せなかった。相手が官庁であり、読者対象も異なるので、問題にはならなかった。

●私は、この仕事で、漢字について、徹底的に学んだ。当用漢字・常用漢字・『殿版 康煕字典』などなどである。だから、昭和女子大学の国文科の授業の板書でも全く誤字はなかった。ただ、定年直前の頃、時々、ド忘れして、学生に教えてもらったことはある。人生の限界であろう。

■■『筆順部首 机上漢和辞典