ドナルド・キーン氏の労作
●『文学界』2009年2月号に掲載された、ドナルド・キーン氏の長編評論「日本人の戦争――作家の日記を読む」を読み始めた。まだ、最初の部分を読んだのみであるが、見事な労作であると思う。青野季吉・永井荷風・高村光太郎・野口米次郎め伊藤整・斎藤瀏・高見順・清沢レツ・山田風太郎・海野十三・徳富蘇峰・渡辺一夫・・・。多くの日本の作家や知識人が、昭和20年のあの激動の現実生活をどのように受け止め、記したか。
●キーン氏には、朝日新聞に連載された『百代の過客―日記にみる日本人』という名著がある。ある点では、日本人以上に日本文学の特質を摘出指摘された研究者だと思う。私は、昭和59年11月30日、東京會舘で行われた、この『百代の過客』の出版祝賀会に出席させて頂いた。『井関隆子日記』を高く評価してくれた最初の研究者でもある。
●この度の書き下ろし、長編評論は、これから読み進めるが、正月から嬉しい作品にめぐり合えた。