『江戸時代語辞典』 発刊 !!!

エバラ退蔵著・尾形仂編『江戸時代語辞典』(B5判、1344頁、2008年11月30日、角川学芸出版発行、22000円+税)が届いた。待ちわびた辞典である。尾形氏の序言によると、近世文学研究の権威・エバラ退蔵氏の収集した語彙カード・遺稿が、京都大学野間光辰氏によって保管されてきたが、更に尾形仂氏の下に移り、尾形氏は、教え子の渡辺守邦氏などの協力を得て、この度、エバラ氏の努力した成果が出版されたということである。

●このような、学問的な情熱の経過に接すると、その学恩を享受できる私達は、感謝の念を深くし、それと同時に、この労著を研究のために活用しなければならない、という衝動にかられる。感謝して、利用させて頂きたいと思う。

●日本語の古語辞典の収録語彙の出典は、私の見るところ、現在は、元禄時代までのように思う。西鶴芭蕉近松までではないか。幕末までの古語の研究が、未だ、十分に進んでいないのであろう。この度のような、江戸時代の言葉についての辞典が公刊されれば、やがて、これらを吸収した古語辞典が編纂されるものと思う。

●私は、かつて、幕末の女性の日記、『井関隆子日記』を校訂した経験があるが、古代語からみると、その語の意味が、かなり変化していることに気づいた。この種の解釈は、現在の古語辞典では処理できない。今回のような労作が公刊され、これらを国語学者が検討して、やがて、幕末までの語義を包含した古語辞典へとつながってゆくのであろう。

●とにかく、今回の『江戸時代語辞典』の出版に、心から感謝する。

■『江戸時代語辞典』