「如儡子」 は 「にょらいし」 か 「じょらいし」 か

仮名草子可笑記』の作者、「如儡子」の読み方は、「にょらいし」であろうか、それとも「じょらいし」であろうか。私は、大学の卒論以来、長年に亙って『可笑記』を研究してきているが、従来の文学史や文学辞典などでは「じょらいし」という読み方が多く用いられている。特に根拠があっての読みとも思われない。「如」を、一般的な漢音に従って「じょ」と読んだのであろう。この「如」の呉音は「にょ」である。

●二本松の郷土史研究家の漆間瑞雄氏は「にょらいし」だろうと言っておられた。如儡子・斎藤親盛が承応4年(1655)に書いた『百八町記』の跋文では、「如儡子(によらいし)これを躙書(にじりがき)にす」とあり、「にょらいし」と振り仮名を付けているのであるから、「にょらいし」とよむのが妥当と思われる。

●『可笑記』の読み方に関しても、「おかしき」と読むべきである、という説があって、私は「かしょうき」と読むべきであると主張したが、「如儡子」の読みに関しても、いずれ、一文を草する必要があるかとも思う。