印刷博物館・ミリオンセラー誕生へ!

●今日は、教え子の飯沼さんに誘われて、大曲のトッパンビルの印刷博物館を見学に行った。トッパンの山田さんにも前々から知らされていて、行きたいと思っていたところだった。11時に待ち合わせたが、何と彼女は和服姿であった。長年、茶道をやり、和服が日常生活になじんでいる由。かつての長澤先生を思い出した。受付でチケットを求めようとしたら、65歳以上は無料です、と言われる。感謝して入場した。

●今回の企画展は「ミリオンセラー誕生へ! 明治・大正の雑誌メディア」である。
第1部 啓蒙の扉 雑誌誕生〜明治中期
第2部 商業時代の幕開け 明治中期〜明治末期
第3部 ミリオンセラー誕生 大正〜昭和初期
という構成である。各コーナーの展示物も大部分がオリジナルで、これだけ揃えるのは大変な事である。『文部省雑誌』(明治7年)・『明六雑誌』(同)・『民間雑誌』(同)・『東洋経済雑誌』(明治12年)・『団団珍聞』(明治15年)など全て第1号の現物である。私は、複製で見ていたが、オリジナルは初めてである。卒論の頃、血眼で捜した『文章世界』(明治39年)も第1巻第2号が出ていた。鈴木三重吉の『赤い鳥』(大正7年)はさすがに複製であった。

大日本雄弁会講談社の『キング』(大正14年)の第1巻第1号の表紙は若い女性の裸の上半身である。この雑誌を売り込むために、講談社は大規模な宣伝広告をした。大きなポスターをつくり、大々的に新聞広告をした。「日本一面白い! 日本一為になる! 日本一安い!」354頁・4大附録・定価50銭。これで初版50万部出したという。そしてやがて140万部を突破したのである。ポスターには夫婦と子供3人で『キング』を見ている様子が描かれている。総合雑誌で国民に浸透したのであろう。

印刷博物館の常設展もみごとである。誘ってくれた飯沼さんに、心から感謝する。2時間ほどかけて見たので、大疲労。大曲は少々立地条件が問題だが、また、見に来たいと思った。

■■印刷博物館企画展「ミリオンセラー誕生へ!明治・大正の雑誌メディア」
2008年9月20日(土)〜12月7日(日)