学術雑誌 と 郵送料

●今日の朝日新聞の報道によると、大手広告会社「博報堂」が低料第三種郵便の悪用で1100万通のDM広告を受注していたという。低料第三種は心身障害者団体の発行する刊行物に適用されるもので、封書の郵送料1通80円がこの制度を適用すると8円になり、その差額は一般の郵便利用者の負担で支えられているという。今回の博報堂のDM広告の割引額は4億4千万円になると報じている。

●私達は学術雑誌『文学研究』を50年間以上継続刊行してきた。全国に会員がいるため郵送料が大きな障害になっていたが、昭和41年に郵政省から「学術刊行物(第四種郵便物)」に指定されて、優遇措置を受けた。

●第95号は334頁で450グラム。通常の料金では390円であるが、「学術刊行物」ゆえ135円で郵送することができた。差額の255円は一般の郵便利用者の負担によって支えられてきた、ということになる。従って、この種の雑誌を編集発行に携わる者は、安い郵送料の意味を十分にわきまえて、少しでも社会に還元できるような内容を収録するように、と心掛けて取り組むべきであろう。

●この度の「ウイルコ」などの低料第三種郵便の悪用による、正規の郵便料金との差額は10億円を超えるとも報じられている。何をか言わんや、である。

■『文学研究』第95号、2007年4月発行
  昭和41年、学術刊行物、第四種郵便、指定