坪内正紀作品展 in 梅が丘

●昨日は、久し振りに小田急線で梅が丘へ行った。目的は寿司の美登利本店ではなく、その先の「クラブツーリズムカフェ梅が丘店」である。気になっていた「坪内正紀作品展 游2」を観るためである。美登利新館を通り過ぎてすぐであった。明るく良い喫茶店である。入って右側の壁面に作品は展示されていた。期待と少しの不安を抱いていた私は、坪内先生の作品の世界に惹き付けられた。案内状の作品のイメージよりも、深い色彩、強い牽引力を感じた。梅が丘まで来て、とても良かった、と思った。色彩には輪島塗の影響があるらしい。

●お店の方の御配慮で、坪内先生と電話で話す事ができた。語りあうのは、大妻女子大の仮名研以来であるから、久し振りのことである。2人の間には、はるか昔の仮名草子研究の、1コマ1コマがあり、急接近した感じであった。案内状よりも、もっともっと深い、〔游〕の世界が広がっていた。人生を彷徨い、流れる先生の念いがあるのかも知れない。芸術家の家庭環境のなかで開花した実りのように思えた。

●坪内先生の御配慮で学習院大学の研究室で『可笑記』を調査していたら、大野晋先生が来られて、お声をかけて下さった。その大野先生もすでに御他界。先日の研究会では坂井氏が、大野先生を熱く追慕していた。

●4時ころ、美登利本店の前に行く。4時半開店、もう5、6人並んでいた。私は横目でニラミ、渋谷へ向かった。渋谷で鈴木重嶺の研究を継承してくれそうな若い研究者との打合せがあった。坪内先生の〔游〕ではないが、このT君との出合いを回想すると、本当に人生のナガレを強く感じる。