鈴木重嶺の掛軸

●先日、菊池先生の紹介で、鈴木重嶺の掛軸を入手した。いろいろ貼り合せた重嶺の軸であるが、作品は和歌一首。
 森鵑 ほととぎすあすもきかばやおひしげる 杜のこかげにをちかへりなく
                           八十五翁  重嶺
重嶺の85歳は、明治31年である。この年の11月に没しているので、没年の初夏あたりの歌であろう。
●また、この軸には、重嶺の手紙の封書が2枚貼られている。消印は「武蔵 府中 二十九年八月十二日」とあり、差出人は「麹町区飯田町五丁目三十番地 鈴木重嶺」とあるので、この年は明治29年8月12日に重嶺の住所が解る。手紙1枚でも、伝記の資料になるという事を知っている人物が、この軸を作ったのであろう。感謝したい。

鈴木重嶺 掛軸

■短冊

■重嶺 85歳の署名

■明治29年8月12日の重嶺の住所