ロボット ペッパー

●今日の 天声人語 はソフトバンクが発売した、ロ゛ット〈ペッパー〉を取上げている。
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天声人語 6月22日

夜、若い女性が帰宅する。一人暮らしらしい。人のかたちをしたロボットが出迎えた。「おかえりなさい。きょうはいい日でしたか」。女性は不機嫌だ。「うるさい。ほっといて」。ロボットはうつむく……▼ソフトバンクがおととい発売したロボット「ペッパー」の紹介映像だ。人の感情を読み取り、身ぶり手ぶりを交えて会話する。一緒に喜んだり、ため息をついたり。価格は19万8千円。初回分の1千台をたった1分間で完売したというから驚く▼ペッパーに使われているのは人工知能である。将棋のプロ棋士に勝って騒がれたのも人工知能だ。それは日々、賢さを増しているらしい。例えば人工知能を鍛え、東大に合格させようというプロジェクトが進む。有名作家の作風を分析し、小説を創作させる試みもある▼米国では、経済やスポーツの記事を自動的に書く人工知能が登場したと聞く。新聞記者としては穏やかではない。このままではいずれ人間の仕事の多くが奪われてしまう。真面目に危ぶむ声が出るのも当然か▼介護や接客といった職場にはすでにロボットが進出しつつある。事務労働の人々への影響が大きいとの見方もある。では本当に人間にしかできないこととは何か。深遠な問いが発せられる時代だ▼人工知能の限界も指摘される。そもそも人の心の仕組みがわかっていないのだから、人間を超えることはできまい、と。人情として賛成したくなる。未来は容易に見通せないが、例えば人工知能に詩は書けるか。

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●このロボット発売のニュースを見たとき、私は、即座に、これは売れる、必ず〈人間〉に受け入れられる、と言った。価格もまずまずだった。しかし、細君は、反対だった。人間に受け入れられない、と言う。私は、長年パソコンを使っていて、マイパソコンが可愛い、と思う時さえある。ネット上で、時には、ムッとすることもある。無機質なPCに、つい感情を思ってしまうのである。ペッパーは、猫や犬や金魚よりも、〈人〉を癒してくれると思う。いずれ、ペッパーの墓地が出来るかも知れない。そんな風に、私は思う。