岸田依子著 『連歌文芸論』 刊行

昭和女子大学日本文学科の岸田依子先生の労作『連歌文芸論』が発刊された。その概要は次の通りである。
。。。。。。。。。。。。。。。
連歌文芸論』
 岸田 依子 著  
    2015年年2月25日、笠間書院発行 
    A5判、372頁、定価9000円+税
                      
 目  次

はじめに 

第Ⅰ部 連歌の座と様式

第一章 短連歌考――場の構造と形式機能について 
第二章 長連歌の形成 
第三章 連歌の時空と構造─―〈発句〉様式の解析を基底として 
第四章 連歌と音曲─―南北朝期の連歌論をめぐって 
第五章 連歌と法会─―結界・声明・回向 
第六章 連歌と神祇 
 
第Ⅱ部 作品考

第一章 能阿『集百句之連歌』とその背景 
第二章 心敬連歌論と〈詩〉の生成 
第三章 専順『前句付並発句』─―翻刻と考証 
第四章  『宗長秘歌抄』諸本考 
第五章 『宗長秘歌抄』の注釈態度─―連歌師の古典和歌享受の方法 

第Ⅲ部 連歌師と道の記

第一章 宗祇と旅─―越後への道 
第二章 宗祇の影─―宗長の二つの〈終焉記〉をめぐって 
第三章 『宗長日記』の構成─―悲話と笑話の断章 
第四章 『宗長日記』と茶の湯─―下京・薪・宇治白川 
第五章 宗長と数寄――〈竹〉のある景をめぐって 
第六章 宗長の旅─―境界と縁 
第七章 紹巴の旅─―『紹巴富士見道記』をめぐって
 
 おわりに 
 初出一覧 
 あとがき 

 連歌索引 
 和歌索引 
 人名索引 
 書名索引 
。。。。。。。。。。。。。。。。。。
★本書の詳細 → 近世初期文芸 → 新刊案内(近世文学・その他)http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm
●私は、昭和女子大学で、岸田先生と共に勤務し、語り合ったこともあった。しかし、専攻の時代も異なるし、ジャンルも違う。そんな関係で、先生の論文を殆ど読んでいなかった。
●この度の御著書を手にして、まず、その瀟洒なたたずまいに心を打たれた。表紙もクロースではない。和紙の趣のある仕上がり、著者の希望か、編集者のセンスか、それはわからないが、とにかく、10年後、50年後のこの著書の面影が浮かぶ。名著が、静かに控え目に書庫で光っている、そんな感じがした。
●ここに掲げた目次では、特に感じないかも知れないが、各章の中の項目が光る。論文の内容と、その奥底に潜む真相に迫る、選び抜かれた表現。気品に溢れた研究書だと感じた。
●まだ、全ては拝読していないが、第2部、第4章の「『宗長秘歌抄』諸本考」には、圧倒されたし、感動した。近世の版本を対象にしてきた私など、足元にも及ばない、テキストへの追尋の姿勢。学問の清々しさを味わった。

岸田依子著 『連歌文芸論』