破体書 人生七十古来稀

●季刊「破体」第126号を頂いた。破体書道の創始者・故松本筑峯氏の門下の活動を伝える機関誌。この号で、石川清玉氏が70歳になったということで、「人生七十古来稀」を出品されている。
●石川氏は、私が誠文堂新光社の辞典部にお世話になっていた頃、教育部門出版部で編集しておられた方である。本年古希を迎えられ、この文を破体書道で表現されたという。出版社退職後、書道に学問に研鑽を重ねて、古希を迎えられた。今年3月には、共立女子大学の「日本漢詩文学会」で「破体書」と題して発表された。故松本筑峯氏創始の書の世界が、このように門下生によって、広く世間に普及してゆくことは、創始者にとっても喜ばしいことであろう。
●私は、誠文堂新光社から昭和女子大に移ったが、その頃の同僚・石川氏が、後に共立女子大で学び、書の世界に精進し、自分の人生を切り拓いてこられたことに敬意を表する。
●思い出せば、誠文堂新光社の当時の社長・小川誠一郎氏は立派な人格の方で、早くから、土日を休日として、残業打ち切り手当てを支給し、残業ゼロを目指す経営方針を打ち出した。社員は、仕事以外の時間で、自分の人生を豊かにして欲しいと提案されたのである。社員は、編集業務に打ち込む外に、自分自身の世界を創出した方が多い。
●写真家の田村さん、法政大学教授の林田先生、園芸関係の研究者・植村さん、洋画家の浜田さん、英語辞典を出された坂本さん、囲碁の勝本さん、電子関係の小川さん、伊能忠敬の研究者・浅野さん、書家の大島さん、韓国に精通していた丹羽さん、音楽通の藤井さん、昆虫採集の佐竹さん、仮名草子の深沢さん(笑い)・・・。ちょっと思い出しただけでも、このようなスペシャリストがいた。素晴らしい社長であり、会社だった。そんな雰囲気の中で、石川さんも活躍していたので、今日があるのだと、ふと思った。
■季刊「破体」第126号

石川清玉 書