八木健吉氏の 『繊維〜究極のバイオミメティクス』 発刊
●八木健吉氏の『繊維〜究極のバイオミメティクス』が発行された。
2014年11月30日、株式会社 不織布情報 発行、120頁、1500円+税。
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目 次
はじめに
第1章 生物のふしぎを解き明かす化学生態学
1.1 カイコ蛾の性フェロモンのふしぎ
<性フェロモン>
<性フェロモンの正体>
<センサーの正体の発見>
<化学生態学>
<カイコ蛾が超鋭敏なセンサーをもつ理由>
<生物多様性>
1.2 植物の青臭い香り(みどりの香り)のふしぎ
<みどりの香り>
<青葉アルデヒドの発見>
<青葉アルコールの発見>
<みどりの香りの全貌解明>
<みどりの香りは複合の香り>
<みどりの香りの発現の仕組み>
<みどりの香りの役割>
1.3 オワンクラゲの緑色のふしぎ
<緑色蛍光タンパク質―GFP>
<なぜGFPがノーベル賞に?>
<GFPは副産物>
<イクオリンの発光の仕組み解明>
<オワンクラゲの緑色発光の謎を解く>
1.4 植物の光合成のふしぎ
<2011年科学技術の10大トピックス>
<光合成タンパク質複合体(光化学系Ⅱ複合体)の研究>
<本成果が2012年度朝日賞に!>
<注目される光合成の研究>
第2章 カイコは合成繊維の母
2.1 カイコがつくる絹繊維のふしぎ
<絹繊維の特徴>
<カイコの繭糸は複合繊維、絹は三角断面形状糸>
<カイコが繭糸をつくる紡糸メカニズム>
2.2 カイコのバイオミメティクスから生まれた合成繊維
<絹(シルク)への憧れ>
<ナイロンはストッキング市場を席捲>
<ポリエステル・シルクライク合成繊維の台頭>
<第一期のシルクライク繊維−優美な光沢の発現>
<第二期のシルクライク繊維−ふくらみ感やナチュラル感の発現>
<第三期のシルクライク繊維−絹なりの音を表現>
第3章 牛や羊は不織布と極細繊維の母
3.1 不織布のバイオミメティクス
<不織布−織らない布?>
<第一期の不織布バイオミメティクス−短繊維不織布>
<第二期の不織布バイオミメティクス−紡糸直結型不織布>
3.2 天然皮革の繊維構造のふしぎ
<天然皮革は不織布>
<皮と革の違い>
<天然皮革の繊維構造>
3.3 牛や羊のバイオミメティクスから生まれた人工皮革
<人工の皮革を目指す>
<第一期の皮革バイオミメティクス−樹脂膜の銀面、織編物基布>
<第二期の皮革バイオミメティクス−透湿性樹脂構造、不織布>
<第三期の皮革バイオミメティクス−極細繊維束>
<極細繊維が繊維の新しい基幹技術に!>
<第三期の銀付きタイプは未達>
第4章 バイオミメティクスの視点から見た繊維の歴史
4.1 天然繊維の利用の時代
<天然繊維の利用>
<イギリスでの産業革命は木綿工業から>
4.2 バイオミメティクス繊維の第一号 シャルドンネ人絹
<人絹工業の父>
<口金による紡糸の概念>
<種々の紡糸技術の誕生>
4.3 シュタウディンガーの繊維高分子説
<繊維は多くの低分子の会合体?>
<繊維は鎖状高分子であることを提唱し、論争が始まる>
<繊維高分子説の定着>
4.4 短繊維のバイオミメティクス
<羊毛と綿花の不足から生まれた短繊維>
<羊毛繊維のふしぎ>
<捲縮の発現>
<捲縮のバイオミメティクス>
<複合繊維の発展>
4.5 重厚長大から軽薄短小へ(時代変化への対応)
<消費者ニーズの変化>
<木綿の繊維構造のふしぎ>
<中空と異形のバイオミメティクス>
<スペシャルティ繊維>
<中空繊維(hollow fiber)は膜分野の基幹技術に>
4.6 天然を超える繊維
<スーパー繊維>
<“ケブラー”は女性研究者の発明>
<液晶ポリエステルと高強力ポリエチレン繊維>
<炭素繊維>
4.7 バイオミメティクスの視点から見た繊維の分類
<繊維の分類>
<バイオミメティクスの視点を入れた繊維の分類>
<合成繊維の方向と役割>
第5章 これからの繊維と人材育成
5.1 これからの繊維の目指す方向
<新しい視点から繊維をみる>
<バイオマス繊維>
<クモの糸>
<日本のベンチャーが人工クモ糸の量産を開始>
<バイオミメティクスの高まり>
<化学生態学と繊維工学との融合>
5.2 これからの繊維系技術者の育成
<繊維を取り巻く環境>
<技術士(繊維部門)資格をもつ繊維技術者の拡大>
<繊維系大学連合による人材育成>
あとがき
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著者
八木 健吉(やぎ・けんきち)
1941年 東京市四谷区生まれ
1965年 京都大学農学部(農芸化学)卒業
東洋レーヨン株式会社入社
人工皮革、エクセーヌ、極細繊維などの研究開発に従事
合繊研・加工研・新事業等歴任
3001年 東レ退社。
三井化学株式会社不織布グループに加わる
この間に技術士(総合技術監理部門)
2003年 八木技術士事務所主宰、現在に至る
2004〜2013年の間、科学技術振興機構(JST)勤務。
現在 JTCC(日本繊維技術士センター)副理事長
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●文学畑の私が、どうして、理系の八木氏を知ることになったか。それは、八木氏のYagiken Web Siteである。のサイトで、拙著『旗本夫人が見た江戸のたそがれ』を採り上げて、長文の批評・紹介をして下さったのがきっかけであった。以後、このYagiken Web Siteは時々拝読して、多くのことを教えて頂いている。八木氏の紀行・論説は、やさしく読みやすい文章ではあるが、内容は充実したものである。
●この度の著書は、私には、全く理解できない内容であるが、自然科学の世界も、文学の世界も、真実を求めて、先へ先へと進んでゆく、その姿勢は同じである。昭和女子大学に勤務していた頃、副学長の岡村浩先生とは、毎朝、喫茶店で御話しして、理系の研究に関して、教えて頂いた。岡村先生は、皮革研究の世界的な権威である。