石川了先生 と 『化物で楽しむ江戸狂歌』 

大妻女子大学教授、石川了先生は、本年6月6日御逝去なされた。

謹んで心から御冥福をお祈り申し上げます

●石川先生は、昭和25年(1950)のお生まれである。研究者としては、まだまだ、やりたいことがあったのではないか、そのように拝察されて、心がいたむ。御病気中に校正もされたという、 『化物で楽しむ江戸狂歌』が笠間書院から刊行された。江戸狂歌研究会の編で、大冊ではないが、内容的には充実した労作である。私など、門外漢の部類に入るかと思うが、勉強させて頂きたいと思う。
●石川先生は江戸狂歌を専攻され、私は仮名草子ゆえ、ジャンルや時代では、余り関係なかった。しかし、長谷川強先生や野田寿雄先生との関係で、しばしば、お会いする機会はあったし、著書や論文はかなり頂いていた。学会等でお会いしても、いつも温かく接して下さった。
●それに、私の個人的な事情からすれば、もう1つ石川先生への思いがある。というのは、私は、法政を卒業した時、北海道へ行く計画を立てた。函館の私立高校に内定してもいた。それは、北大の野田寿雄先生の仮名草子研究を視野に入れてのものであった。これは、実現しなかったけれど、野田先生が、後年、青山学院に移られ、東京で、仮名草子研究会を創設された時、その準備会から参加させて頂いたのは、そのような経緯の故であった。
●そのような事もあって、石川先生には、本当に多くの事を教えて頂いた。先生は労作『江戸狂歌壇史の研究』で、総合研究大学院大学から博士(文学)を授与され、大妻女子大学から名誉教授を追贈された。先生の生涯を通しての御研究は、確実に評価された。
★『化物で楽しむ江戸狂歌』の詳細 → http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm
■『化物で楽しむ江戸狂歌
 
■『江戸狂歌壇史の研究』
 平成23年3月30日 汲古書院発行