さまよう 墓石
●今日の朝日新聞1面に、現在のお墓の実状が報じられている。当然と言えば当然であるが、人間の生き方について考える時、深刻と言えば深刻な問題である。
「無縁化 さまよう墓」「不法投棄続々」「墓の墓 も」「少子化 墓守が不在」「過疎進み、各地で撤去」「継承前提 時代に合わず」「永続的管理を研究 ■血縁離れ 合葬も」
●この見出しだけで、この記事が何を伝えているかわかる。現在の人々にとって、現世に対して来世が、どのような意味を持つか、そんな問題が提起されている。葬儀も同様である。このところ、新聞の死亡広告はめっきり減った。葬儀のスタイルも家族葬、密葬など、ごく、小ぢんまりと執り行うケースが多くなってきた。
●私は、職業柄、過去の歴史上の人物のお墓の調査を少なからず経験している。その現実を見つめる時、人間にとっての〔墓〕とは何かと考えてしまう。
●井関隆子の墓、鈴木重嶺の墓、如儡子・斎藤親盛の墓、鹿島則孝・則文の墓、等々、調査してきて思うことは、その家、その家の御子孫の方々が、いかに、御先祖様を大切にしているか、と言うことである。歴史上の人物研究の第一資料は、過去帳と位牌と墓石である、と私は考えている。その意味では、困った現象である。
●これからの人は、立派なお墓も、院殿号のように最上級の法名も付けなくて結構であるが、できれば、自分の生きてきた記録や、自分の考えや、思いやを、何らかの方法、紙の本やデジタルデータなどで残して欲しいと思う。
■一括管理の墓 朝日新聞デジタル より
■不法投棄の現場 朝日新聞デジタル より