長谷川 卓 『目目連 高積見廻り同心御用控③』

●長谷川 卓 『目目連 高積見廻り同心御用控③』が刊行された(祥伝社文庫、平成26年6月20日発行、定価740円+税)。高積見廻り同心御用控の『百まなこ』『犬目』に続く第3弾である。
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同心見習の瀬島利三郎が袈裟斬りで殺された。巷を騒がす辻斬りの犠牲になったのか。彼と同じ道場の朋輩の失踪も判明。高積見廻りの滝村与兵衛は敵を討つべく探索に乗り出すが・・・・・・
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●早速、読み始めた。一気に読める。今、第3章の150頁まできた。実に読みやすい。ぐんぐん、作品の舞台に引きこまれていく。筋書きがもちろん面白いが、勉強になるなあ、とつくづく思う。江戸時代の奉行所はこんな組織で、大都市江戸の治安はこのようにして守れていたのか、江戸の人たちは、こんな料理で一杯やっていたのか、教えられることが多い。
●この小説では、読者を江戸時代に導き、読者が作中の人物と近づけるような工夫がなされている。それは、巻頭の、①【「目目連」の舞台】、②【主な登場人物】だろうと思う。作者は、ごく自然に同心や与力を活躍させ、江戸の日常の中で、事件は展開してゆく。しかし、中身は推理である。私のように、江戸捕物小説の常連ではない読者にとっては、これは、助かる。
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「戸を開けようとする与一郎を止め、与兵衛が三和土に下り、引き戸を開けた。」
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最初のあたりに、このような描写がある。実は、私は、大学を出たての頃、お世話になった編集部で、山手樹一郎の小説を校正していて、この「三和土」には参った経験がある。「さんわど」で辞書を引いても出ていない。先輩の野町さんにたずねたら、「たたき」だよ、と軽く教えてくれた。もちろん、今回は「たたき」とルビが付いているので、読者はわかる。
●とにかく、面白い。目目連が少し登場してきた段階ではあるが、とりあえず、長谷川卓の新作を紹介しておく。
■長谷川 卓 『目目連 高積見廻り同心御用控③』

■①【「目目連」の舞台】

■②【主な登場人物】